政権にいるという立場から答弁を差し控えさせていただくと言い続けた馬鹿どもには政権を追われた今こそ答弁していただく

もう、許さねーよ。

総理の座にしがみつく「支離滅裂」

 自民党のパーティ券裏金問題で、岸田文雄首相は14日、安倍派の閣僚4人と副大臣5人を更迭した。だが、岸田派にもパーティ券収入の過少記載問題が浮上している。同じ疑惑で大臣を更迭しながら、自分は総理の座にしがみつくのであれば「支離滅裂」と言わざるをえない。

 まず、一連の経過を確認しよう。

 岸田首相の人事断行方針は、11日には報じられていた。この時点では、政務官を含めて、安倍派を政府の役職から一掃する方針と伝えられた。その後、NHKが12日、岸田派のパーティ券収入過少記載疑惑を報じた。

 首相は13日、首相官邸で開いた記者会見で「(政治)改革は、これから確認される事実に基づいて明らかにしていく」と語った。一方で「国政に遅滞を来すことがないように」という理由を挙げて「速やかに人事を行う」と宣言し、翌14日に更迭人事を断行した、という展開である。

 当初は6人の政務官も含めて更迭する方針と報じられたが、直前になって変わり、政務官は1人を除いて留任になった。

 以上をどうみるか。

 そもそも「疑惑の事実関係が明らかでない段階で、マスコミ報道だけに基づいて、閣僚を4人も更迭する」という決定自体が異例だ。マスコミが報じたら、本人が認めず、捜査当局が本格的に動き出していなくても、大臣のクビを切る、という前例を作ってしまった。

 これには、東京地検特捜部も驚いたのではないか。「オレたちがこれから調べる、と言っているのに、総理は、もうクビを切ってしまったのか」と唖然としているかもしれない。それとも、特捜部は内々に官邸に捜査情報を伝えていたのだろうか。そうだとしたら、それはそれで大問題である。

政治の重大局面で重要なのは…

 それはさておき、問題は岸田首相本人である。岸田派も疑惑が報じられたのだから、首相は自分自身も更迭しなければ、話の辻褄が合わない。つまり、内閣総辞職だ。私は「岸田首相は潔く、自ら総理を辞すべきだ」と思う。いわば、これは「自分が撒いたタネ」なのだ。

 辞めた閣僚のうち、宮下一郎農相は明確に裏金受領を否定している。宮下氏は辞表提出後、記者団に「私の政治資金は法に則って、適正に処理されているが、総合的に判断した」と無念そうに語った。

 もしも、同氏がシロだったとすれば、岸田首相はシロの閣僚も更迭しながら、自分自身に関わる疑惑は不問に付して、首相の職に居残っている形になる。派閥の資金であっても、つい最近まで、自分が領袖だったのだから、言い訳にはならない。

 これでは「国民の信頼回復に向けて党の先頭に立って闘っていく」(首相発言)どころか「自分だけが必死に逃げ回っている」ようなものではないか。こういう展開になったのも「疑惑が明らかでないのに、大臣のクビを切る」という無茶な決定をしたからだ。

 政治は重大局面を迎えたときほど「道理=物事の道筋」が重要になる。

 筋道が通らない話は結局、破綻する。今回で言えば「疑惑が指摘された大臣は辞めてもらう」のであれば、同じロジックを自分にも適用しなければならない。そうしないなら、首相の対応はその場しのぎで、まったく道理がない話になる。岸田首相は、政治で一番大切な道理をわきまえていないのである。

 岸田首相は、かねて「国家観も使命感もなく、やりたいのは人事だけ」と言われてきた。突然のスキャンダルに動揺するあまり、政治の道理も手順にも頭が回らず「人事を一新すれば、しのげる」と思い込んでしまった。その挙げ句、自分に火の粉を招いている。

 まさに自爆としか言いようがないが、おそらく、いまでも首相は、そういう事態と認識していないのではないか。少しでも認識する力があれば、これほど、お粗末な話にはならない。助言する側近もいなかったのだろう。

 首相の記者会見を聞いていて、もう1つ、呆れたのは、「首相の論理破綻」は明らかなのに、誰1人として、その点を追及した記者がいなかった点である。わずかに「人事の後で閣僚に疑惑が出た場合、どう責任をとるのか」という質問が出た程度だ。

政権が生き延びるのが難しい「3つの理由」

 岸田首相は、うろたえた様子で「そうした懸念が生じないように、諸課題にどう対応していくのか、そのための体制はどうあるべきか、を真剣に追求していく」と答えた。まるで答えになっていなかったが、記者団から2の矢、3の矢の質問はなかった。こんな官邸記者団だから「権力のポチ」と言われるのだ。

 岸田政権は、このまま生き延びられるだろうか。

 私は、3つの理由で「難しい」とみる。

 事件の展開は予断を許さず、政治資金規正法違反で済むのか、それとも脱税事件にまで発展するのか、も見通せない。だが、いまや問題は法律的な次元をはるかに超えてしまった。国民は「政治家だけが裏金で甘い汁を吸っている」実態に怒りをたぎらせている。

 物価高で数十円単位で節約している普通の国民から見れば、百万、千万単位はもちろん、数十万円単位の裏金だって許せない。そこへ「信頼回復のために、火の玉となって自民党の先頭に立つ」などというシラジラしい首相の言葉が、火に油を注いでいる。この国民の怒りが、1番目の理由だ。

 次に、指摘した首相の論理破綻がある。疑惑だけで大臣のクビを切った以上、更迭のロジックは必ず、ブーメランになって首相に戻ってくる。派閥のカネだったとしても、首相は今回の問題が起きるまで、派閥トップの座を降りなかった。自分だけが居残って「信頼回復」などできるわけがない。

 安倍派閣僚の更迭によって、政権基盤も大きく揺らいでしまった。

 安倍派の萩生田光一自民党政調会長は安倍派パージに先んじて、自ら辞任の意向を表明した。「こんな総理にクビを切られるくらいなら、こちらから三行半を突きつけてやる」という話だろう。怒り狂った安倍派が今後、「岸田降ろし」の急先鋒に回るのは確実だ。これが、3つ目の理由である。

「岸田憎し」で団結

 一部には「安倍派は崩壊」などという観測も出ているが、私は、逆ではないか、と思う。絶対的なトップの不在が派閥の求心力を弱めているのはたしかだが、今回のパージで安倍派全体に「岸田憎し」の思いが強まって、かえって団結していく可能性が高い。自民党内権力闘争のロジックで言えば、「敵は岸田派」なのだ。

 新しい官房長官に親中派で知られた林芳正元外相を充てたのも、求心力を高める効果がある。このままでは「岸田政権が親中路線に一段と傾斜し、日本の国がおかしくなる」という思いは、多くの自民党内保守派に共通している。

 岸田首相は結局、政策は霞が関任せ、政局運営は道理知らず、人事もトンチンカンで、とても1国の総理が務まるような人物ではなかった。

 世界はウクライナとイスラエルで戦争が続き、戦後最大の大激動を迎えている。このままでは、日本は危うい。内閣支持率の急落に加えて、この有様では、とても衆院解散などできない。岸田首相は内閣総辞職すべきである。

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