ビットコインの最も強力なユースケースは価値の上昇である(賢者たちの言葉より)

現在、ビットコインの「実用性」を口にする論者はほとんどおらず、著名な強気筋は「売るつもりはまったくない」と述べている。
少し前までの議論では、分散型金融と決済手段としてのビットコインに重点が置かれていた。

2024年の支配的な論点はシンプルだ。「ビットコインを買え。なぜなら価値が上昇しているからだ」

今では、代表的なビットコイン投資家に話を聞いても、この世界最大の暗号資産(仮想通貨)が持つ「現実世界における実用性」への言及について、ほとんど耳にすることはない。
少し前まで、ビットコイン(BTC)の熱烈な支持者たちは、ビットコインには無数の活用事例が考えられ、旧来の金融システムに代わるものを確立する可能性さえあると主張していた。たとえば、クロスボーダー決済、分散型金融(DeFi)、ブロックチェーン技術の可能性がもてはやされていた。

だが、現在はそうした主張は基本的に見あたらない。2024年における強気筋の論点はシンプルだ。つまり、供給は需要に追いつかない、というものだ。ビットコインの価値をめぐる議論は、投資手段という用途以外に関しては、ほぼ行われていない。

マイクロストラテジー(MicroStrategy)のマイケル・セイラー(Michael Saylor)や、スカイブリッジ・キャピタルのアンソニー・スカラムッチ(Anthony Scaramucci)といった著名な強気筋は、自分たちの計画はシンプルに、ビットコインをいつまでも保持することだと示してきた。

3月22日にニューヨークで開催された会議「ビットコイン・インベスター・デイ」で講演したスカラムッチは、自分はクライアントに対して、ビットコインに関しては「何もするな」とアドバイスしていると述べた。

「チャールズ・シュワブでは、死者たちのほうが、生きている人たちよりもはるかにうまくやる」とスカラムッチは話した。つまり、ビットコインに関しては死者のようにふるまい、売ってはいけない。何もしてはいけないということだ。

同様に、自身の会社がビットコイン全流通量の1%を保持しているセイラーも、できるかぎり多くのビットコインを手に入れ、いつまでも保持するつもりだと述べている。

セイラーは先ごろ、Yahoo! ファイナンスのインタビューで、「ビットコインは、世界でも最高の形式の資産、頂点にある財産であり、最高の投資資産であると我々は考えている」と話した。

「したがって、より多くのビットコインを獲得することがエンドゲームとなる。他のエンドゲームは存在しない

懐疑派のあいだには、ビットコインが登場した当初から、その実用性に関する疑問があった。

ビットコインは、インフレヘッジとしても、あまり有望さを発揮していない。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が、1970年代以降で最悪の急激なインフレを抑えるために利上げに踏み切った2022年には、ビットコインの価値は60%目減りした。

そして、決済の一形式としては、現在のところ、メインストリームで使用されている様子は見えない。コインデスク(CoinDesk)のリポートによれば、ビットコインのブロックチェーンにおけるオンチェーン送金額は、ごくわずかにとどまっている。これは、ビットコインの保持者が、保持する以外のことは何もしていないことを示唆している。ステーブルコイン「テザー(Tether)」の共同創業者ウィリアム・クイグリー(William Quigley)はBusiness Insiderに、「一部の投資家はビットコインの魅力に関して悩んでおり、それには同情する」と話した。

クイグリーによれば、ビットコインは取引に時間がかかり、なおかつ手数料が高価で、一般消費者向けの決済システムに関しては、もっとよい代替手段が存在するという。強気筋は別にして、ビットコインは結局のところ、日常的な取引に使われる一般的な選択肢としての人気を得られていないのだ。

「私が耳にする最もよくある批判は、(ビットコインには)実際的な使いみちがなく、文鎮のようなものだ、というものだ」とクイグリーは述べる。

「私はだいたいにおいて、『すべての点について、まったくその通り』と言う。ただ、私には問題にならないことですが」

クイグリーに言わせれば、ビットコインの取引を望む投資家たちの理由は、先物取引の理由と同様だという。ビットコイン取引のポイントは、センチメントを利用し、価格差で利益を得ることにあるとクイグリーは言う。

「暗号資産は、『センチメントにおける変化』に対して投機を行う人たちによって支配されている」とクイグリーは言う。

「トレーダーの観点から見たビットコインの有用性は、『センチメントを利用した金儲けを試みること』にある」

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