
再犯が強く危惧される、という狂人を野に放つ愚。恐ろしい。
8/26(火) 2:27配信 テレビ朝日系(ANN)
裁判長「再犯が強く危惧される」“似た手口”執行猶予中の凶行 容疑者3年前に“有罪”
神戸市のマンションで、片山恵さん(24)が殺害された事件。殺人の疑いで逮捕された新宿区の会社員・谷本将志容疑者(35)の犯行前の足取りが、さらに見えてきました。
神戸の大手損害保険会社で働く片山さんが退勤したのは、20日午後6時半ごろ。その直後から、谷本容疑者とみられる男が、あとをつけていたとみられています。阪神電鉄やポートライナーを片山さんと一緒に乗り継いで、マンションに侵入したということでしょうか。その間、約50分以上。
捜査関係者への取材で、谷本容疑者は、休みを利用して、事件の3日前から神戸に滞在していたことも新たに判明しました。宿泊先は、片山さんの職場から数百メートルしか離れていません。
事件当日も泊まる予約を入れていましたが、犯行後、宿泊はせずに、そのまま東京方面へと逃走したとみられています。
奥多摩町で確保されるまで、2日足らず。それまで、どこで、何をしていたかは、明らかになっていません。
ただ、都心で暮らしていた谷本容疑者と、神戸との接点は、少しずつわかってきています。
谷本容疑者の親族
「お父さんは大阪だから、そっちで大きくなっている。元々は親戚、みんな神戸だから。去年、『おじいさんの墓参りに行きたい』と言って、夏ごろ一緒に行った」
谷本容疑者は16歳で、情報系の高等専修学校を退学したあと、神戸市内の建設会社で10年以上働いています。谷本容疑者にとっては、最も長い職歴です。
谷本容疑者は、2022年に事件を起こしています。
女性の首を絞めたなどとして、ストーカー規制法違反、住居侵入、傷害などの罪で起訴されます。部屋に1時間ほど居座って、女性に好意を伝えていたということです。
当時を知る職場の関係者は、こう話します。
神戸時代を知る職場関係者
「今回の事件と同じように、女性に付きまとい、オートロックをすり抜けたようだ。谷本は『首は絞めていない。部屋にも入っていない』と言っていた。本人も仕事は辞めるということだったので、それ以上、質問もしなかった」
この裁判の判決。
安西二郎裁判長(2022年の判決)
「路上で見かけ、一方的に好意を抱いた女性に対し、約5カ月にわたり、動画撮影などを伴うつきまといや、住居付近のうろつきなど、ストーカー行為に及んでいた。とりわけ傷害の様態は、必死に逃げようとする被害者に対し、首を強く絞めるなど危険なもので、被害者は死の恐怖に直面していた」
神戸地裁の判断は、執行猶予付きの有罪判決でした。まだ執行猶予期間中だったのに、再び事件を起こしたことになります。
当時、裁判長は、こう指摘していました。
安西二郎裁判長(2022年の判決)
「住居侵入・傷害事件の翌日に、謝って許してもらいたいと考えて、被害者の心情に思いを致すことなく、被害者方へと赴こうとした経緯からしても、思考の歪みは顕著である。再犯が強く危惧されると言わざるを得ない」
裁判のあと、関東に出て、新宿区にあるいまの会社の面接を受けたのは、2023年5月でした。
勤務していた会社の代表
「逮捕歴はあるか聞いたところ『逮捕歴はありません』という返答。関西から関東に来た理由は『昔、やんちゃをしていて、悪い友だちと縁を切るために関東に来た』と」
これまでも休みの明けに無断欠勤したことがあったため、22日、谷本容疑者に宛てて、こんなメッセージを送っていました。
谷本容疑者に送ったメッセージ
「どうしたのかな?これでは前回と同じだよ。辞めるなら、ちゃんと言わないと」
このメッセージを送った6時間後、身柄が確保されました。
谷本容疑者は、片山さんを刺したことは認めていますが 「殺意を持っていたかは、わからない」「全く知らない人」と供述しています。
これまでの捜査でも、2人の接点は確認されていません。警察は、面識がなかった可能性もあるとみて、調べを進めています。
◆捜査本部が置かれている兵庫県警葺合警察署前にいるABCテレビ神戸支局・雲戸和輝記者に聞きます。
(Q.最新情報を教えてください)
雲戸和輝記者
「捜査関係者の取材で新たな情報がわかってきました。防犯カメラの映像についてです。被害者とみられる女性が、同僚ら3人と会社から出てきたところの映像が残っていたそうです。3人を追いかけ始める容疑者とみられる男の姿が映っていたということです。被害者とみられる女性は、3人からその後、1人になりました。そのあとを男が、さらに追っていたということが防犯カメラの映像からわかったそうです」
(Q.容疑者は事件3日前から近くのホテルに滞在していましたが、計画性については、どうでしょうか)
雲戸和輝記者
「具体的な計画性であったりとか、そもそも女性を明確なターゲットとしていたかなど、現在、我々の取材では、詳しくはわかっていません。ただ、警察は、男の足取りや動機など、かなり慎重に調べているなというふうに、取材していても感じます」
(Q.3年前の事件との共通点について、警察はどう見ていますか)
雲戸和輝記者
「3年前の事件で、判決文の中で『再犯が強く危惧される』と指摘されていました。前回は、5カ月間にわたり、つきまといを行っていて、その末に事件に発展しています。当時の裁判資料などを見ると、今回のように、ナイフなどの凶器を持っていたという情報は確認できていません。警察も3年前との類似性は感じているようですが、今回、神戸での滞在は、仕事の休暇を利用した4日間のみでした。前回と違い、長期間にわたり、つきまとっていたというようなことは、まだ確認されていません。3年前との事件との相違点があると。容疑者が、どれくらい前からナイフを準備していたのか。そもそも2人に接点があったのか、なかったのか。そのあたり、警察は、慎重に調べています」