知らないと死ぬ!

優先順位を間違えないようにしよう!

人間が生きるために「水、食事よりも必要」な最優先事項

人間が生存するために必要な要素を優先順に並べたものを、「セイクレッドオーダー」という。危機的状況に陥ったときに死なないためには、生存するための優先順位を知っておき、生存計画を立てることだ。第一に確保するべきなのは「体温」。そのために必要なのはまずウェアリング、そして、気温が下がり危険が増す夜の過ごし方を、『災害からテロ、ミサイル攻撃まで まさか⁉の非常事態で「死なない技術」』 (扶桑社ムック)の著者で、自衛隊危機管理教官の川口拓氏に解説してもらった。

まず確保しなければならないのは「空気」で、これがないと3分で命を落とす。空気が不足することはあまりないだろうが、火災が起きればそういう状況もあり得る。

2つ目は「体温」。命を落とすまでの時間の目安は3時間。夏でも濡れた状態で風にあたると急激に体温を失う。実際、アウトドアでの死亡の原因のほとんどは低体温症によるものである。

3つ目は「水」。人間が水を飲まずに生きられる時間はおよそ72時間。それまでに何らかの方法で飲料水を得なければならない。

4つ目に「火」が入るのは意外かもしれないが、調理をする熱や明かりとなる光が得られる火は、人にとってとても重要なものだ。

「食」は5番目。実は人間は食料がなくても3週間から30日は生き延びることができる。それだけ余裕があるので、優先順位としては最後になる。

◆体温を逃さない「ウェアリング」の技術

緊急事態で優先するべきは、「獲得する」ことよりも「保持する」こと。これは体温も同じで、焚き火などで体を温めることを考える前に、自分の体温を逃さないことを考えるべきだ。

体温を逃さない3カ条は、
① 濡れない
② 風に当たらない
③ 冷たいものに触れない
こと。

そのために大切なのが、衣服の重ね着「ウェアリング」の技術だ。アウトドアにおいては、体温を保持するため、また、快適な着用感を得るために、3層のレイヤリングという考え方で衣服を重ね着するのが効果的である。

3層とはすなわち、体感温度を高める下着層、体から出る体温を逃さず溜めておく滞留層、そして一番上になるのが外部からの風や雨を防ぎながら、体温を逃さないようにするカバー層のこと。

アウトドアウエアには、汗をかいても冷たくならない吸汗速乾性に優れる下着や、雨は防ぎながら衣服内の湿気は外部に放出する防水透湿素材のジャケットなど、機能的なものがたくさんあるので、それらを利用するのもいいだろう。

しかし、日常生活で災害に遭遇したとき、機能的なアウトドアウエアや暖かいダウンジャケットなどを持っているとは限らない。そこで私は薄手のレインコートと新聞紙を、普段からバッグに入れている。簡易的な防寒ウエアをつくることができるからだ。

背中側にも均一に新聞紙を入れるのが難しく、着用するのに少しコツがいるので、非常時に戸惑わないよう、ぜひ平時に試しておいてほしい。見た目は悪いが、その暖かさにきっと驚くはずだ。

◆体温を維持して夜を乗り越える技術

焚き火ができるアウトドアなら、シェルターと寝袋などの装備があれば、屋外でも快適に夜を過ごすことができる。それどころか、揺れる炎を前にリラックスできる時間は最高の贅沢といってもいいだろう。

しかし、災害時に十分な装備もない状態で寒い夜を過ごすのはとてもつらいはずだ。装備があり、状況が許すのであればむろん横になりたい。しかし、そうすると体と地面が触れる面積が広がり、体温がどんどん地面に逃げていってしまう。

体温を保持するためには、できるだけ地面に触れる面積を小さく、つまり座った状態でいなくてはならない。

もちろん、この状態でぐっすり眠ることはできない。災害が発生したばかりで未知の危険がある状態でもあるし、私ならほとんど眠ることはないだろう。しかし、可能な限り体力と体温を温存し、明日に命をつなげよう。

【川口 拓】
1990年代よりカナダ、アメリカのサバイバルスクールでサバイバル技術やネイティブアメリカンの古来の教えを学び、2001年にブッシュクラフトやサバイバルの技術を伝える自然学校「WILD ANDNATIVE」を設立。地球とのつながりを感じる自然体験プログラムを実施している。2013年に一般社団法人「危機管理リーダー教育協会」を設立。執筆活動、テレビや雑誌などのメディア協力も積極的に行い、技術を広く共有している。CMLEブッシュクラフトインストラクター養成トレーナー、Japan Bushcraft School校長、Japan Urban Survival School校長、自衛隊危機管理教官、自衛隊サバイバル教官
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