今更だが、ABC予想

「理解者は20人、数学の天才も批判 異常事態のABC予想証明の行方」
https://www.asahi.com/articles/AST4J0G2BT4JPLBJ008M.html

京都大学の望月新一先生が、「ABC予想」の証明に成功した。というのは大ニュースや。
こりゃ「フェルマーの最終定理の証明」とおんなじぐらいの偉業だとされとり、日本人数学者がこれ成し遂げたことに誇り感じるわい。。

1.これまでの経緯

証明果たした望月先生けど、その経歴はというと、

・10歳でギリシャ語とラテン語の勉強始める

(どちらも文法が複雑で習得が難しい言葉)

・16歳で、飛び級にてプリンストン大入学 →19歳で卒業

・23歳で博士号取得

・26歳で京大助教授

・32歳で京大教授

という人間離れしたものになっとる。。。数学者でググると、この手の天才エピソードがわんさか出てくるが、このお方も例にぶらず、、という感じや。

さて、このABC予想の証明けど、実は8年前の2012年の時点で望月先生は論文提出しとったのやけど、査読(論文の中身が正しいかどうかのチェック)に7-8年もの歳月がかかり、今年になってようやく正しさが認められた、という流れや。

なんでこなん査読に時間がかかったのか言うたら、論文自体が500ページ強という超大作やったのも然ることながら、「宇宙際タイヒミュラー理論」と呼ばれる全く新しい数学の理論が使われとったけん、当時の数学者で理解できる人がほとんどおらなんだ、という事情があるんじゃ。査読のために、なんべんも「宇宙際タイヒミュラー理論」理解するための勉強会が開かれたそうや。

2.ABC予想の内容説明(前編)

前段が長うなってしもうたけん、ABC予想の中身の説明に移る。

この記事は、ABC予想の主張理解しようという趣旨で、証明はせん(というかできん)。

ABC予想とは、下のような問題となる。

f:id:stchopin:20200826070913p:plain

このままだと全く意味が分からん思うけん、1つ1つ翻訳していく。

まず、「互いに素」というんは、「最大公約数が1」という意味や。例えば、(a,b,c) = (1,2,3), (5,7,12)というような組み合わせや。この2つは、両方とも1以外の公約数持っとらん。逆にまんでが3の倍数となってしまう(a,b,c) = (3,6,9)みたいな組み合わせはNGだということや。

次に、rad (a,b,c)の意味説明する。

こりゃ、「a,b,cに含まれる素因数1つずつ掛け算したもの」になる。具体例挙げるわい。

例えば、(a,b,c) = (1,2,3)の場合は、

a=1, b=2, c=3やけん、d=rad (a,b,c) = 2×3 = 6 となる。

(a,b,c) = (5, 7, 12)の場合は、

a=5, b=7, c = 2×2×3 やけん、d=rad(a,b,c) = 2×3×5×7 = 210 となる。

(a,b,c) = (8,9,17)の場合は、

a=2×2×2, b=3×3, c=17やけん、d=rad(a,b,c) = 2×3×17 = 102 となる。

雰囲気が掴めてきたかね?

ABC予想は、このd= rad(a,b,c)の値と、cの値と大小比較しようという趣旨になっとる。

上の3つの例では、3つとも c < dとなっとる。他にもいろいろ試すと分かるが、ほとんどのケースでc<dとなっとることが分かる。 ところが、c >dとなるケースもあって、以下の例がそれになっとる。

(a,b,c) = (1,8,9)の場合は、

a=1, b=2×2×2, c=3×3やけん、d=rad(a,b,c) = 2×3 = 6

c>dとなる例がこれしかないのかというと、そななんはのう、実は無限個の組み合わせがあることが証明されとる。信じがたいことに。

ここまでまとめると、「c>dとなる(a,b,c)の組み合わせが無限個存在してしまう」ということや。いかんやん、となる。

そこで登場するのが、今まで説明してこなんだ、「任意の正の実数ε」や。

3. ABC予想の内容説明(後編)

まず極端な例として、εがメチャクチャ大きい数だとする。99くらいにしよか。このとき、

d^(1+99) = d^100という数は指数関数的に大きゅうなっていくけん、c>d^100となるcなんてほとんど見つからんじゃろうというんは直観的に分かるか思う。

やけど、ABC予想の凄いとこは、ε=0の場合は前述のようにいかんかったのに、このεがたとえ、ε=0.000000000000000000001みたいながいにこんまい数であっても、cの個数が有限個に収まるよ、言よる点や。

つまり噛み砕いて言うたら、「dほんのちょっとでも大きゅうしたれば、c>d^(1+ε)となる(a,b,c)は、ほとんど見つからんようなるよ(少のうとも無限個はないよ)」

ということなんや。ABC予想の中身、何とのうでも理解できたじゃろうか?

4.ABC予想が正しかったら、フェルマーの最終定理が瞬殺できる!?

さて、そなんABC予想けど、「何の役に立つんだわい!?」とお怒りの人も多いか思う。

が、数学の世界には「ABC予想が正しかったら、○○だ」という定理(応用上重要なものも含む)が山のように存在しとり、ABC予想が解かれることによって、これらの解明が一気に進み、科学大きゅう進歩させるきっかけになりえます。微分積分の発明が、後世の科学大きゅう発展させたように。

その一例として、このABC予想使うと、なんと、あの330年かかった難問「フェルマーの最終定理」があっという間に解けてしまうんだそうや。以下に、その概略書く。

ここじゃ、正しいかどうかはさておき、ABC予想の「有限個」思い切って「0個」にしてしもうたもの考える。

ABC予想のa,b,c  a= x^n, b= x^n, c=z^n としたら、フェルマーの最終定理の式になる。(x,y,zは互いに素なもの考えたら十分や)

このとき、d = rad (a,b,c) 計算してみると、

d= rad (x^n, y^n, z^n) =rad (x,y,z) ≦ x × y × z < z × z × z =z^3

まとめると、d<z^3 と評価できる。 上の評価では、 ・n乗してもせんでも、x,y,zの素因数の構成は変わらんけん、 rad (x^n, y^n, z^n) =rad (x,y,z) ・rad (x,y,z)は、定義からx,y,zの積そのものよりこんまいはず ・x^n +y^n = z^n という式から、zが一番大きい という事実使うとる。 ここで、ε=1としたABC予想考えると、 c>d^2となるcは存在せんのやった(有限個0個と考えとる)。

言い換えたら、c≦d^2でなかったらならん。

よって、フェルマーの最終定理の式みたす(x,y,z)の組が存在するためには、

c=z^n < d^2 = (z^3)^2 = z^6 → z^n < z^6 →n<6

つまりnは5以下でないといけな分かる。

(この時点でn≧6の時は、フェルマーの最終定理が正しいと示せたことになる)

ところで、フェルマーの最終定理解く過程で、

n=3の場合(オイラー), n=4の場合(フェルマー本人), n=5の場合(ディリクレ、ルジャンドル)は、既にフェルマーの最終定理が正しいと証明されとる。

よって、n≧3のすべてのnについて、フェルマーの最終定理が正しいと証明できた!!

こなん、ABC予想(少し誇張したもの)使うたら、解くのに330年かかった世紀の難問が、瞬殺できてしまうわけで、この事実一つとっても、ABC予想というものが数学の世界においてがいに強力な武器となり、その証明が大偉業やったかが理解できるか思う。

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