https://news.yahoo.co.jp/articles/dbb8e1d781047deb924998365de7a4e29a014060
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有害な職場環境でがむしゃらに働き続けていないだろうか。もしそうなら、そこを離れることを考えてほしい。自分が受けるかもしれない害のためだけではない。そんな環境にいたら、自分自身が嫌な人間に変わってしまうかもしれないからだ。
腐敗した環境に身を置いているなら、状況を少しでもよくしてほしい。たとえば、もっと社交的になること。仲間内だけでなく、外部の人たちともつながること。ウィンウィンの状況を模索すること。感情的に熱くなりすぎないこと。そして、自分がどんな気分でいるか確認すること。
こうした対策は、状況によってサイコパス的になる恐れのある他者から身を守ってくれるだけではない。自分自身が不適切な振る舞いをして問題の一因になってしまうことを防ぐ助けにもなる。
また、わたしたちは自分の性格にひそむ、ときとして他者を傷つけてしまう部分についても考えなければならない。わたしたちはダークな特性に満ち満ちているわけではないかもしれないが、性格診断のテストを受けてみれば、少なくともいくつかの特性については、自分が思っているよりも高い数値が出る可能性もあるだろう。
こうした問題になりうる部分を自覚できればできるほど、それを修正しやすくなる。そして、努力がうまくいかなかったときにも、より早く責任を認め、謝ることができるようになる。
(本書の)第四章で紹介したダークな行動スキャナーをもう一度見直し、それを自分自身の行動にあてはめてみてほしい。復讐心の強い一面があるだろうか。自分に都合のよい噓をわりと頻繁についていないだろうか。どうしても欲しいものがあるとき、人を操るような行動に頼ってしまうことはないだろうか。会話や人間関係を必要以上に支配してはいないだろうか。若干競争心が強すぎることはないだろうか。
水準は低いながらも存在するかもしれないダークな特性を見極めるために、「一度もしたことがない」というゲームをしてみよう。これまでに一度でもしたことがある行為にはチェックを入れてみてほしい。
■第1のバケツ 他者とのかかわり方
・欲しいものを手に入れるために噓をついたことがある。
・家族、友人、同僚を自分に有利になるように操ったことがある。
・希望をかなえるために好きでもない人に好意があるふりをしたことがある。
・自分の噓を信じる人を「カモ」だと思ったことがある。
・誰だって欲しいものを手に入れるためなら平気で人をだますものだ、と冷めた見方をしたことがある。
・注目の的になりたいと思ったことがある。
・自分は特別な存在で、他者は自分より劣っていると感じたことがある。
■第2のバケツ 感情のあり方
・誰かが失敗したり苦しんだりするのを見るのを楽しんだことがある。
・面白半分で誰かをいじめたことがある。
・冷たいとか思いやりがないとかと言われたことがある。
・誰かが苦しんでいるのを見ても何も感じなかったことがある。
・自分は誰よりもタフだと思ったことがある。
・暴力的なスポーツや映画を見るのが好きだ。
・役に立たなくなった友人を無視したことがある。
・葬式や結婚式、卒業式などで、人は感情的になりすぎだと思ったことがある。
■第3のバケツ リスクへの向き合い方
・危険な状況をあえて求めたことがある。
・よく考えずに攻撃的に反応したことがある。
・自分は「スリルを求めるタイプ」だと思ったことがある。
・見ず知らずの相手と性的関係をもったことがある。
・大金を賭けるギャンブルを楽しんだことがある。
・すぐに退屈してしまったことがある。
・生きている実感欲しさに無謀な運転をしたことがある。
・無鉄砲、あるいは無責任だと言われたことがある。
■第4のバケツ 社会的ルールや慣習の扱い方
・万引きをしたことがある。
・違法薬物を使ったことがある。
・殴り合いの喧嘩をしたことがある。
・逮捕されたり、犯罪容疑で起訴されたりしたことがある。
・ルールを破って、レストランなどの施設から追い出されたことがある。
・車上荒らしや不法侵入をしたことがある。
・人をだましてお金を巻き上げたことがある。
・停学や退学の処分を受けたことがある。
ある行動を一度とったからといって、それだけでこれが人格特性だと断定できるわけではない。しかし、チェック欄にしるしがいくつもつくようなら、気がかりなパターンがあることを示しているのかもしれない。
誰しも改善の余地がある領域をもち、自分のあまり好ましくない傾向を理解することは自己改善の土台となる。改善すべき点に気づいたら、放っておけばしてしまいがちな振る舞いよりも、より寛大に、より人の役に立つかたちで、より協力的に行動するよう、意欲を搔き立てることができるのである。
*書籍『あなたの隣のサイコパスな人――どう見つける? どう逃げる?』より
【読者への注記】
本書では、邪悪(ダーク)な人格の持ち主とかかわったばかりに被害を受けた人たちの体験が紹介されている。プライバシーへの配慮と法的な理由から関係者の氏名は仮名とし、身元が特定できる詳細は変更した。けれども、すべての話は事実であり、2023~2024年にかけておこなった電話とビデオ通話による聞き取り調査にもとづいている。
【編集部注記】
本書における表現および論じている内容に差別的な意図・差別を助長する意図はありません。各研究についての参考・引用文献は記事では割愛しています。本書をご参照ください。
【著者】
リアン・テン・ブリンク博士/ブリティッシュコロンビア大学准教授、同大トゥルース・アンド・トラスト・ラボ責任者。法曹界、財界、政界における欺瞞、不信、サイコパス的人格に関する学術論文を多数発表。研究成果は『ニューヨーク・タイムズ』紙、『フィナンシャル・タイムズ』紙、『ワシントン・ポスト』紙、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌、BBC(英国放送協会)、NPR(アメリカ公共ラジオ)、CBC(カナダ放送協会)などで紹介されている。ブリティッシュコロンビア大学着任前はデンバー大学助教を務め、カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスおよび心理学部でバンティング博士研究員フェローとして研究に従事した。ブリティッシュコロンビア大学で博士号、ダルハウジー大学で理学士号取得。カナダ・ノヴァスコシア州アンティゴニッシュ出身。
【訳者】
小林さゆり/翻訳家。神奈川大学外国語学部卒業。おもな訳書に『南北アメリカ大陸民族百科事典』(ジェームズ・B・ミナハン著、共訳)、『ニューヨーク文化百科事典』(ニューヨーク・マガジン編、共訳)、『女性の歴史を変えたモノ事典』(マギー・アンドリューズ、ジャニス・ロマス著、以上、柊風舎)、『世界シネマ大事典』(フィリップ・ケンプ責任編集、共訳、三省堂)、『私の唇は嘘をつく』(ジュリー・クラーク著、二見書房)、『「不思議の国のアリス」の家』(ヴァネッサ・テイト著、柏書房)など。

