私のように酒を嗜まない者には最初の項目は無用。あとの2つで93歳まで元気に生きる。
88歳でも体力・気力とも衰え知らず
私は先般88歳を迎えましたが、ありがたいことに体力・気力とも衰え知らずで、現役医師として毎日大変忙しく働いております。
私の1週間は月曜から金曜までは病院(帯津三敬病院/帯津三敬塾クリニック)で診察があり、土日は講演会で地方、その合間に雑誌の連載や書籍の原稿書き……といった具合で、年中ほぼ休みなしです。
「どうしてそんなにお元気なのですか?」
「健康の秘密を教えてほしい」
と聞かれることもしばしばです。
私としては特別なことをしているつもりはないのですが、今回は私が健康のために「絶対にしない」3つのことについてご紹介してみたいと思います。
私の健康法に晩酌は欠かせません。夕方6時からの晩酌が長年の習慣であることは、「『87歳現役医師』が健康のため毎日やる3つのこと」でも述べた通りです。
日中忙しく働き、仕事が終わってホッとして「ああ、今日もよく働いたな」と自分をねぎらいながら一杯やる。これが私の人生最大の楽しみです。
休肝日はありません。1日たりとも欠かすことなく、365日飲みます。
適量を飲むのであれば、休肝日は必要ないと考えているからです。
飲む量はだいたい決まっている
お酒は飲む場所によっても異なりますが、たとえば行きつけの居酒屋で飲む場合は生ビールの中ジョッキを2杯のあと、口切り一杯のウイスキーのロックを2杯ほど。これまた行きつけのうなぎ屋さんでは生ビールの中ジョッキを1~2杯のあと麦焼酎の口切り一杯のロックを2杯というところです。
若い頃は無茶な飲み方をしたこともありますが、今はだいたい量が決まっていてそれ以上は飲みません。二日酔いをしたこともありません。
リラックスして副交感神経を優位にするためにも、適量の酒はとてもいいものです。
よく「○○が嫌いだけれど健康のために無理して食べている」という人がいますが、嫌いなものを無理して食べる必要はないと思っています。
どんなに健康によくても嫌いなものを無理して食べてそれが体にいい作用を及ぼすとは思えないからです。
うちの病院でも、病院食に漢方粥や玄米菜食などを取り入れていましたが、何年か過ぎた頃に「万人向けの食養生というものは存在しないのではないだろうか」という考えが頭をもたげ、元の食事に戻しました。
「おいしい」という心のときめきこそ重要
食は喜びです。「おいしい」という「心のときめき」こそが大事だと私は考えています。
嫌いなものを無理して食べてもそこにはときめきがありません。私も、嫌いな生野菜は絶対に食べません(笑)。
私が尊敬する江戸時代の学者・貝原益軒は、「好けるものを少し食べよ」と言っています。好きなものを少量食べるのが一番です。
「健康のためには減塩」と言われますが、私はあまり気にしていません。
先に述べたように土日は講演で地方出張が多く、泊まりになることもよくあります。ホテルの朝食バイキングはあまり好きではないので、納豆をもらって醤油をしっかりかけて食べています。これは酒のつまみにしても最高です。
がんの食事療法に「ゲルソン療法」という、塩分を一切取らない食事法があります。以前、私もこの療法に興味を持ち、うちの当時の看護師長をメキシコのゲルソン病院に1週間入院させて体験してもらったことがありました。
すると、3日目くらいからひどい頭痛に襲われて、大変な目に遭ったそうです。そこでとっさに持参した塩昆布を食べたところ、ケロリと治ってしまったというのです。
この話を聞いて、やっぱり人間には塩分は必要なのだと確信しました。
しっかり塩分を楽しんだら翌日はちょっと控えるというように、バランスを取っていけばいいと思います。
ストレスをためるほうが、よっぽど体に悪い
私が健康のためにしない3つについて述べてきました。こうしてみると、なんのことはない、無理なく自分の好きなようにやっているだけです。
飲酒や減塩もそうですが、世の中にはさまざまな「健康常識」があって、そこからはずれるとすぐに病気になるような言い方がされています。
そんな細かい健康常識に振り回され、ストレスをためることのほうが、よっぽど体に悪い。免疫力も低下してしまいます。
大切なことは私たちが持つ「いのちのエネルギー」を高めることです。
そのためには好きなものを食べ、好きなことをして「ときめき」を持って生きることです。そしてこれが私の健康法のすべてです。