森本レオ氏「原因不明の突然死」…医師が警告する”命を奪う5つの病気と見逃してはいけない前兆”

私を含め誰しも無縁だとは限らない;;⇒こちら

「昨日まで普通に話していた」「いつも通り眠りについた」――。
それでも、突然、命が失われることがある。
俳優・ナレーターとして長年活躍した森本レオさんが9月4日、83歳で亡くなった。所属事務所によれば「原因不明の突然死」だったという。
森本さんといえば、『ショムニ』『ロングバケーション』(いずれもフジテレビ系)など数々の名作ドラマに出演。美声を活かしてアニメ『きかんしゃトーマス』などのナレーターとしても幅広い世代に親しまれてきた。
そんな森本さんの突然の訃報。今回のように原因を特定できないケースがある一方で、日本では心臓が原因で突然心停止となる人が年間約9万1000人もいる(総務省消防庁『令和7年版 救急・救助の現況』より)。単純計算すると1日約250人が心臓突然死で亡くなっていることになる。

「突然死」と聞けば、何の前触れもなく命を奪われるイメージがあるが、身体が小さなSOSを出しているケースもある。
「胸が少し重い」
「最近、息切れしやすい」
「一瞬、目の前が暗くなった」
「経験したことのない頭痛がした」
これらの症状を「疲れているだけ」「年齢のせい」と片づけてしまうことで、重大な病気の発見を遅らせる場合があるのだ。突然死につながる病気にはどんなものがあるのか。見逃してはいけない前兆とは!?

医療法人社団五良会理事長の五藤良将医師に聞いた(以下、「」は五藤医師)。

「突然死」は病名ではない
まず知っておきたいのは、「突然死」という病気が存在するわけではないということだ。

「突然死とは予期していなかった死が突然訪れることを指す言葉で、病名ではありません。その背景には心臓や血管、脳などの重大な病気が隠れていることがあります。森本さんについては所属事務所が『原因不明』と発表していますから、死因を外部から推測することはできません。
一般論として、昨日まで普通に生活していたように見えた人が心臓や血管などの病気が急激に悪化して、突然命を落とすことはあります。それが突然死の怖いところです」
東京都監察医務院は突然死を「瞬間死あるいは急性症状の発現後24時間以内の死亡で、外因死を除いた自然死」と定義している。同院によれば、突然死のなかでは「急性心臓死」が最も多く、その大半が虚血性心疾患だとしている。

突然死につながる可能性がある病気には代表的なものが5つある。

①急性心筋梗塞――「胸が激しく痛む」とは限らない
まず注意したいのが「急性心筋梗塞」だ。心臓に酸素や栄養を送っている冠動脈が詰まり、心筋への血流が途絶える病気である。

「典型的な症状として、胸を締めつけられるような強い痛みや圧迫感があげられます。ただ、心筋梗塞=必ず胸に激痛が起こる、とは限りません。胸が重い、息苦しい、冷や汗が出る、吐き気がする。あるいは肩や腕、背中、あご、みぞおちなどに違和感が出ることもあります。

特に高齢の方や糖尿病のある方では、痛みをあまり感じない『無痛性心筋梗塞』もあり、症状が典型的ではないことがあります。『胸が痛くないから心臓ではない』と自己判断するのは危険です」

森本さんは2010年、67歳のときに心筋梗塞を発症し、救急搬送されている。当時の報道によると、自宅で胸からみぞおち付近の痛みを訴え、自らマネージャーに連絡。救急車で搬送され、心筋梗塞と診断されたという。

ただし、過去の心筋梗塞と今回の突然死との因果関係は明らかになっていない。五藤医師は一般論として、こう指摘する。

「心筋梗塞で怖いのは、心臓の筋肉がダメージを受けることだけではありません。心室細動などの危険な不整脈を引き起こし、突然の心停止につながることがあるのです。胸の違和感が続く、冷や汗を伴う、息苦しい、いつもと明らかに違うときは我慢せず、すぐに病院に行ってください」

②致死性不整脈――「一瞬気を失った」も重要なサイン
二つ目が心室細動や心室頻拍などの「致死性不整脈」だ。心臓は電気信号によって規則正しく収縮し、全身へ血液を送り出している。この電気信号が大きく乱れると、心臓が正常に血液を送り出せなくなる。

「特に心室細動になると、心臓の筋肉が細かく震えるだけで、ポンプとして十分に機能しなくなります。脳にも血液が届かなくなるため、短時間で意識を失い、心停止につながります。迅速な心肺蘇生やAEDによる対応が必要です」

この病気が恐ろしいのは「突然起こる」ことだが、発症前に異変を感じる人もいるという。

「これまでになかった強い動悸、息切れ、めまい、目の前が暗くなる感じ、失神などには注意してください。『一瞬、気を失ったけれど、すぐ元に戻ったから大丈夫』と考えてしまうのは危険です。失神の背景に重い不整脈が隠れている可能性があるからです」

日本循環器学会も、心室細動や心室頻拍は心筋梗塞や心筋症などを背景に起こることがあり、これまでになかった動悸、息切れ、失神、めまいなどがあれば医師に相談するよう呼びかけている。

③急性大動脈解離――突然の「胸や背中の激痛」
三つ目が「急性大動脈解離」だ。心臓から送り出された血液が最初に通る、人体で最も太い血管が大動脈。その大動脈の壁が突然裂け、血液が血管壁の中へ入り込んでしまう病気である。

「典型的な症状は“突然起こる非常に強い胸や背中の痛み”です。『今まで経験したことのない痛み』『突然、胸や背中を引き裂かれるように痛くなった』と表現されることがあります。解離が広がるにつれて、痛む場所が胸から背中、さらに腰などへ移っていく場合もあります」

症状が出るのは胸や背中だけとは限らない。

「脳へ血液を送る血管の流れに障害が出れば、意識障害や手足の麻痺などが起こることがあります。心臓の血管に影響すれば、心筋梗塞のような状態になることもある。

大動脈が破裂したり、心臓を包む膜(心膜)の中に血液がたまって心臓が十分に動けなくなる『心タンポナーデ』が起きると突然死に至ることがあります。高血圧は、大動脈解離の大きな危険因子です。大動脈解離は一刻を争う病気です。突然の激しい胸痛や背中の痛みを『少し休めば治るだろう』と放置してはいけません」

④肺血栓塞栓症――「突然、息が苦しい」は要注意
四つ目が「肺血栓塞栓症」だ。足などの静脈にできた血栓が血流に乗って肺へ運ばれ、肺動脈を塞いでしまう。長時間同じ姿勢でいることで起きたものは「エコノミークラス症候群」と呼ばれる。

「特徴的な症状は突然の息苦しさや胸の痛みです。重症になると肺へ十分に血液を送れなくなり、血圧が低下して、意識を失ったり、心停止につながる可能性があります」

手術後や長期の安静、がんの罹患など、血栓ができやすくなる状況にある場合は注意が必要だ。

この病気は肺より先に足に異変が表れるケースもある。

「片方の足だけが急に腫れたり、痛くなったりすることがあります。その後、突然息苦しくなった、胸が痛くなった場合には肺血栓塞栓症を考えてください」

⑤くも膜下出血――「今まで経験したことのない頭痛」
脳の病気が突然死につながることもある。その代表例が「くも膜下出血」だ。脳の血管にできた動脈瘤などが破裂し、脳を覆う3層の膜のうち、くも膜の下(くも膜下腔)に出血する。

「非常に重要なサインが、突然起こる激しい頭痛です。よく『今まで経験したことがない頭痛』などと表現されます。吐き気や嘔吐を伴ったり、重症であれば、その場で意識を失ったりすることもあります。本格的な出血の前に『警告頭痛』と呼ばれる比較的軽い頭痛が起こることもあります」

“頭痛持ち「『またいつもの頭痛だろう』と考えがちですが、本当に普段の頭痛と同じなのか。明らかにいつもとは違う頭痛なら、鎮痛薬を飲んで様子を見るのではなく、すぐに医療機関を受診することが大切です」

「年齢のせい」で見逃してはいけない
日常生活のなかでは何に気をつけるべきか。五藤医師は「痛みの強さ」だけで判断しないことを挙げる。

「突然死につながる病気だからといって、最初から激烈な症状が出るとは限りません。特に年齢を重ねると、『最近疲れやすいのは歳だから』『息切れするのも年齢のせい』と考えがちです。

以前は問題なく歩けた距離で急に息切れするようになった、胸にこれまでなかった違和感がある、動悸を繰り返すなど、“これまでの自分とは違う変化”があれば、一度立ち止まって考えてほしいです」

すぐに対応が必要なのは、突然の強い胸痛や胸の圧迫感、突然の激しい息苦しさ、失神、突然の激しい頭痛、意識障害、片側の手足の麻痺などだという。

「『朝まで待とう』『少し寝れば治るだろう』と考えるのは危険です。心筋梗塞や大動脈解離、くも膜下出血などは、治療開始までの時間が非常に重要です。救急車を呼ぶべきか迷ったら、地域の救急相談窓口(#7119など)に相談してください」

周りの人の異変に気づくことも大切だ。

「目の前で人が倒れて反応がなく、普段どおりの呼吸をしていなければ、すぐに119番通報し、胸骨圧迫とAEDの使用をためらわないでください。居合わせた人の行動が命を救うことにつながります」

「昨日まで元気だったから大丈夫」とは限らない。だからといって、身体の変化すべてに怯えて生活する必要はない。五藤医師は最後にこう話す。

「すべての突然死に前兆があるわけではありません。本当に突然起こり、予測することが難しいケースもあります。ですから、『前兆さえ知っていれば突然死は防げる』と考えるのも正しくありません。大切なのは、自分の身体の“いつもと違う”状況を軽く扱わないこと。

『疲れているだけ』『歳だから』『寝れば治る』と決めつけず、気になる症状が続いたら医療機関を受診する。突然、強い症状が出たのなら、迷わず救急要請を考える。それが命を守ることにつながります」

「昨日まで元気だったから、今日も大丈夫」。

その常識が通用しない病気がある。突然の胸の痛み、息苦しさ、失神、これまで経験したことのない激しい頭痛――。

身体が発する「いつもと違う」SOSを見逃さないことが、自分自身、そして身近な人の命を守る第一歩になる。

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