ひどくよくわかる。彼らの悲哀は深く心に刺さっている。
「ひどくつまらない」初のPSを“ただただ楽しむ”大谷翔平を羨むしかできず…エ軍専門サイトが嘆き
「雰囲気自体が凄く興奮、熱気で、本当にただただ楽しいなというゲームでした」
現地時間10月5日に行われたパドレスとの地区シリーズ第1戦を振り返り、大谷翔平(ドジャース)はそう語った。メジャーリーグに移籍して7年目にしてようやく体験するポストシーズン。ヒリヒリとした勝負の舞台を偉才は謳歌しているように見えた。
劣勢ムードを一振りで吹き飛ばした。3点を追っていた2回2死一、二塁。パドレス先発右腕ディラン・シーズと対峙した大谷は4シームを強振。速度111.8マイル(約180キロ)で飛んだ打球はあっという間に右翼席に突き刺さった。
打った瞬間に感情が爆発した。本人は「状況も状況だったし、特にメジャーリーグの中でもトップクラスの素晴らしい投手が相手だったので凄くうれしかった」と語ったが、バットを放り投げて何度も雄叫びをあげる姿は、まさに野球少年のそれ。心の底から勝負事を楽しんでいるように見えた。
真価を発揮した大谷。その輝かしいパフォーマンスを羨望の眼差しを向けるのは、古巣の界隈だ。日夜、エンゼルスのあらゆる情報を発信している専門サイト『Halo Hangout』は、「残念ながら、我々は彼の活躍から目をそらすことはできずにいる」と書き出し、「ショウヘイ・オオタニを失ったことは、エンゼルス、特にファンにとって十分に辛いことだった。だが、彼はいよいよポストシーズンに出た」と強調。ドジャースでの活躍を羨んだ。
同じロサンゼルスに拠点を構えるドジャースへの移籍を「心は永遠に引き裂かれた」と回想する同サイトは「オオタニはエンゼルス・ファンにとって全てだった。だから彼がドジャースの一員としてポストシーズンに挑む姿をテレビで見るのは、ひどくつまらない経験だ」と断言。そして、レギュラーシーズンで99敗を喫し、改善が見られなかったチーム状況を嘆いている。
「モレノオーナーを中心とした首脳陣がオオタニ中心のチーム作りをしなかったのは、近年のあらゆる決定の中で最も許しがたい。今やオオタニはいなくなり、ついにはポストシーズンでドジャースを牽引している。一方、エンゼルスはポストシーズンに近づきすらしなかった。オオタニが赤と白のユニフォームを着て、ポストシーズンを戦っていたらどんな姿になっていたか……。我々は今、その姿を想像することしかできない」
日米両球界が熱狂した大谷の鮮烈な活躍。檜舞台で異彩を放つ姿を、エンゼルスの周辺は「最も嫌いなチームの最高の選手となったオオタニを応援するのは難しい」(『Halo Hangout』より)と複雑な気持ちで見つめるしかできないようだ。