パニック障害からの脱出、珠玉の言葉

岡本よりたか氏のFacebookより無断引用。強調部分は自分。

全国を講演で周っていると、うつ病で苦しんだと言う話をよく聞く。
そのほとんどの人が、そこから抜け出るために、長い時間を要している。
何故、うつ病という名の塞ぎ込みが回復しにくいのか。
実は、そこには明確な答えがある。
それは、僕の経験から気づかされたことでもある。
僕は、39歳でパニック障害を発症した。
できるだけ周りに気づかれないようにしていたが、その苦しみは、心臓を地の底へと引き込んで行くような醜悪なものだった。
パニック障害とうつ病とは似て非なるものではあるが、その苦しみや抜け出る難しさという面では、とても似ている。
周りの人がうつ病らしき症状を発症した時、一般的に周りの人はどうするのか。
おそらく、ほとんどの人が理解を示し、アドバイスをしようとするだろう。
回復するための励ましや同情。あるいは叱咤する場合もあるだろう。
実は、これらの行為はむしろ逆効果である。
何故か。
うつ病は自己否定によって発症するからだ。
つまり、自己を肯定できないから苦しむのである。
そんな時に他人からアドバイスされると、自分を見下されているように感じる。
それがうつ病の人の心理状態である。
罹患したことのない人には理解しにくいかもしれない。
僕がパニック障害という苦しみから、どうやって抜け出たのか…。
それは、とても簡単なことだった。
母はパニック障害の僕に、アドバイスすることはなかった。
理解はしていたとは思うが、そのそぶりも見せぬようにしていたと思う。
ただ、僕の目の前に鳥の骨の入ったスープをそっと差し出し、こう言った。
「命をいただきなさい」
たったこの一言である。
何が僕の心を動かしたのか。
実は、母は、僕が生きていたいと思っているという心理を、見事に言い当てていたからだ。
生きていたいから、苦しむのである。
うつ病は死を連想する。しかし、心の底では死にたくないと思う。死にたくないから苦しむ。
もし、この死にたくないという深層の心理を打ち砕いてしまったら、その人は死を選ぶだろう。
打ち砕くものは、苦しみを忘れさせてしまう薬と、さらなる自己否定。
しかし、母は、僕の心の中に「死にたくない」という心理を見つけていた。
だから「命をいただく」という言葉で口火を切ったのである。
母は、僕の表情が変わったことを確認すると、続けてこう言った。
「食べるものを作りなさい」
これは、パニック障害から抜け出るためのアドバイスではない。
生き方への指南である。
そして僕は気づいた。何かを作ってみる必要があるということ。
なんでもいい。なんでもいいから、この両手を使って何かを作り上げる。
手を使えば頭は空っぽになる。考えすぎて思考が抵抗始めているその頭を一旦止めることができる。
そして、”手が脳の代わりをする”のである。
僕の場合は野菜であった。でも、なんでもいい。服でも小屋でも器でも。
あるいは、音楽やイベントや絵でもいい。
自分の身の回りのものを、ただひたすら手を使って作り上げてみる。
それこそが、自己肯定なのである。
そしてそれは、自分の命というものを組み立てていく感覚でもある。
その感覚を取り戻したとき、自分は生きていけるという確信を取り戻せ、深い泥沼から這い出ることできるのである。
自分を表現できるもの。
それこそが、手仕事であり、人が幸福に生きていけるための手段なのである。
自己を肯定できなくなって起きるうつ病。
大切なのは、どうすれば自己を肯定できるかであり、それを見つけるためのヒントを与えることである。
あくまでも、一例として…。
では、おやすみなさい。

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